So-net無料ブログ作成
検索選択

朝青龍騒動に見る、日本の「メンタルヘルス民度」 [事件、ニュース]

私はスポーツ全般に興味が無い。しかも相撲なんて、そりゃもうどうかと思うほど興味が無い。
それでも今回の朝青龍騒動に多少なりとも興味があるのは、この騒動が日本の「メンタルヘルスに対する民度」をよく表していると思うからだ。
朝青龍の診断に関しては諸説あるけど、いずれにしても複数の医師が病気(またはその一歩手前)だと診断しているし、実際に食欲不振・睡眠障害などの症状もある。だから、もしこれが朝青龍でなくフツーの人で、仕事によるストレスから来る症状であれば、(ストレスの根源が自分の不祥事であったとしても)まずは治療が必要である事は言うまでも無い。
そして治療のためには「頑張って」「根性で」とか「汗をかけば治る(by大島巡業部長)」といった精神論はまったく意味を成さない。
それを分かった上で、しかし相撲界という「国技」の特殊な業界で生計を立てている以上、「病への対処としては間違っているが、頑張って乗り越えようとする」かどうかが問われるだろう。

しかし、この「病への対処としては間違っている」ことが、あまり認識されていないように思う。
うつ病などの精神障害、特に気分が落ち込むようなタイプの障害に関しては、ハタから見れば「ただの休んでいる人」にしか見えない。そのためなかなか周囲に理解されず、「仮病だ」「甘えだ」「怠けている」といった誤解がうつ病患者を長年に渡って苦しめてきた。
それでも近頃では、うつ病の増加とともに少しづつ理解が深まっていると思っていたのだけど、今回の騒動を通して、そうでもなかったのかと感じる。
「一般的には治療のために休むべきだけど、でも朝青龍ですからね」というなら分かる。けれど今の報道を見ると、どうも一般的なメンタルヘルスの問題と今回の問題が区別されておらず、「頑張れば治る」「気の持ちようだ」的な、古くからうつ病患者を追い詰めてきた言葉が、実に無神経にたれ流されている。
言ってる方としては「うつ病患者一般」ではなく「朝青龍個人」に向けて言っているから、自分がうつ病患者を差別しているとか、傷つけるかも知れないとは思っていないのだろう。
けれど自分も精神科に通っていた経験からいえば、こうした態度に表れる「メンタルヘルスに対する市民の意識」は、かなり広範のメンタルヘルス患者に自分の事(自分を見る社会の認識)として写るし、今のような態度は間違いなく患者たちを追い込んでいく。

確かに朝青龍のやったことは不始末だ。でも、不始末をしたからって治療を阻まれて良いのか。
おそらく、休んだり帰国したりすれば復帰させてもらえないだろうとは思う。だから、朝青龍が力士を続けて行きたいと思っている以上、「治療としての正しさ」と「生き残るための戦術」を天秤にかけて、どう判断するのが彼や周囲にとって良い事なのか、私の知るところではない。
しかし少なくとも一般論として、うつ病患者が「頑張る」ことは対処として間違っているし、「休む」事が絶対的に必要だ。それは悪い事でもなんでもなく、端的に「有効な対処」だ。
最低限、それくらいのことは認識されなければならない。

<関連>
日本相撲協会を嫌う(朝青龍を救え!)
いい加減にしろや、朝青龍問題
「朝青龍とメンタルヘルス」について


nice!(0)  コメント(6)  トラックバック(1) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 6

FAD

TBありがとうございます。
こちらの記事には賛同します。確かに朝青龍と同一化して症状を悪化させてしまった方や再発した方が大勢いることでしょうね。(私もその一人かな~。)
「帰国して療養すりゃいいじゃないか、とは参らぬらしい。朝青龍には何せ仮病疑惑がつきまとう。」(今夕の朝日「素粒子」の一節)といった無神経なコトバが「良識」をまとって宙を舞っている日本社会です。「メンタルヘルス」などは所詮、「環境問題」や「平和教育」などと同様、インテリにとっての有り難い御題目として消費されているだけなんです、きっと。
by FAD (2007-08-09 21:37) 

sasakich

>FADさん
ご来訪・コメントありがとうございます。
今日もワイドショーを見ていたら「甘えるな」「記者会見して責任を取れ」「反省が足りない」のオンパレードでした。こうした厳しい態度が、多くのメンタルヘルス患者を追い込んでいるかと思うと怒りすら覚えます。
真にインテリであるなら、メンタルヘルスへの基礎知識と、多くの患者への配慮くらい持って欲しいものです。
by sasakich (2007-08-10 19:05) 

RERA

確かに、メンタルヘルスの観点から見れば、今の角界の動き方はまさに
悪い例を象徴しているように思えます。一般社会に比べれば20年以上
遅れているのではないでしょうか。

ただ、朝青龍自身が本当に精神的疾患に陥っているようには思えない節も
あります。本当は精神疾患を装って、理由をつけてモンゴルでのびのび
したいというたくらみを持っているとか...。

怪我を押してでもモンゴルのサッカーイベントに参加するさまを見ても
どうも日本よりもモンゴルを極めて重視しているようで、日本人として許せない
感情もあります。
プロであれば商売道具である自分の体を大事にするのが当然で、どんなに
政府の依頼だったとしても断っても何のお咎めもないです。
それでも祖国への忠誠心で参加するというのは少々異常に感じます。
国民性の違いかもしれませんが、少なくとも朝青龍は相撲という日本の
伝統文化の象徴ですから、もっと日本の代表としての意識を持つべき
でしょう。これは他の外国人力士にも言えることでしょう。
by RERA (2007-08-21 11:29) 

sasakich

RERAさん

来訪&コメントありがとうございます。
病状の真意に関して私の知るところではないし、大して興味もありません。処分が妥当であるのかや、朝青龍の態度が横綱としてどうなのかも、私には評価できません。相撲について無知だし、興味もありませんから。

ただ私が問題だと思うのは、朝青龍騒動でメンタルヘルスについて言及される言葉の数々が、朝青龍個人ではなく、多くのメンタルヘルス患者一般を傷つける結果になっていないかということです。
そして、自傷行為を繰り返していた人間としては、今メディアで流れる言葉の数々が、メンタルヘルス患者一般に悪影響を与える可能性は低くないと感じます。
相撲業界がどうなってもなんとも思いませんが、この騒動の影響で多くのメンタルヘルス患者が追い詰められるのなら、私にとってはその事のほうがよほど由々しき問題なのです。
by sasakich (2007-08-22 21:54) 

NO NAME

私もスポーツにも相撲にもほとんど興味がありませんが、
>日本よりもモンゴルを極めて重視しているようで、日本人として許せない感情
この感情にはとても興味があります。日本の伝統文化のまっただ中で仕事をしているとしても、彼はモンゴル人です。彼がモンゴル人であることは認めるべきだし、尊重すべきだと思います。帰化しないとか、妻がモンゴル人だとか、非難めいた口調で述べるテレビ出演の知識人には驚かせられました。

外国人にその国を棄てることを求めるのなら、入門のときにそれを伝えるべきです。

従って
>日本の代表としての意識を持つべき
この考えにも違和感大です。朝青龍はモンゴルでのインタビューに日本と日本人、日本の伝統、そして相撲に対する尊敬と親愛の情を率直に述べています。これで充分でしょう。この信頼を今私たちは裏切っていると思います。

記事のメンタルヘルスに関するご意見には全面的に同感です。
by NO NAME (2007-08-26 22:43) 

sasakich

来訪&コメントありがとうございます。
RERAさんへのコメントに関してはご本人に返信を譲りますが、私も朝青龍報道が日に日に「モンゴル人としての朝青龍批判」になっている事には強い疑問を感じます。
良い形で決着がついて欲しいですね。

p.s
出来れば今後はHNを入力ください。
by sasakich (2007-08-26 23:22) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この記事のトラックバックURL:
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。